拡散テンソル画像(DTI)

参考PDF①   参考PDF②

試20-28、19-12、17-13、15-28、8-8

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概要

・水分子の拡散の方向と大きさを測定し、脳の白質神経線維の走行を可視化する

・神経疾患の診断に有用

・MPGの方向を変化させた複数の画像から脳や神経の拡散の異方性を表す画像

・脳や脊髄の神経線維髄鞘の方向性や規制する強度を画像化する

・神経繊維などの障害物があると、それに沿った方向に拡散運動が制限される

白質神経路軸索損傷の評価に用いる

・最低6方向からのMPGパルスが必要

FAマップ表示でのコントラスト

FA値:異方性の強さ(神経繊維の方向)を示す
 値:0(等方的:自由拡散) ~1(異方的:制限拡散)
  等方性拡散のFA=0
  異方性拡散のFA=1に近い大きな値

高FA:
白質線維が密な部分や方向性が強い線維束
信号を示す
例)白質、脳梁、内包

低FA:
拡散が等方的な部分や病変、神経線維の損傷など
中等度~低信号を示す
例)灰白質脳脊髄液(FA=0)、脳梗塞、外傷

 

(詳細)FAとADCは以下のように定義される

λ1、λ2、λ3 :各方向のベクトルの固有値
以下のように表すこともある
AD(axial diffusivity) ・・・λ1拡散異方性が最も強い
RD(radial diffusivity)・・・λ2とλ3の平均
MD(mean diffusivity)・・・λ1とλ2とλ3 との平均

拡散が等方性である場合、λ1=λ2=λ3=Dより、FAの分子が0となりFAは最小値0
異方性が強くなるに従ってFAは大きくなる
異方性が非常に強い場合、λ1>>λ2=λ3≒0となるため、FA≒1

DTIで観察される主要な白質線維

DTIでは、脳の白質(神経線維の束)を可視化する
以下のような白質路が確認できる

①交連線維(Commissural Fibers)
左右の脳半球をつなぐ線維
カラーマップ:赤色で左右方向への水分子の動きの方向性を表す
部位
・脳梁(Corpus Callosum): 最大の交連線維で、左右の大脳半球を連結
・脳弓(Fornix): 側脳室の下を走行し、記憶形成に関与

②投射線維(Projection Fibers)
大脳皮質と脳幹・脊髄をつなぐ線維
カラーマップ:青色で上下方向への水分子の動きの方向性を表す
部位
・内包(Internal Capsule): 運動・感覚の重要な経路。
・視放線(Optic Radiation): 視覚情報を伝達(視床 → 視覚野)。

③ 連合線維(Association Fibers)
同じ半球内で異なる部位を連絡
カラーマップ:緑色で前後方向への水分子の動きの方向性を表す
部位
・弓状束(Arcuate Fasciculus, AF):
 前頭葉のブローカ野と側頭葉のウェルニッケ野を結ぶ
 言語機能に関与する

・上縦束(Superior Longitudinal Fasciculus, SLF):
 前頭葉~後頭葉を結ぶ

・下縦束(Inferior Longitudinal Fasciculus, ILF):
 側頭葉~後頭葉を結ぶ(視覚と関与)

・鉤状束(Uncinate Fasciculus):
 前頭葉~側頭葉を連結し、感情や記憶に関与

・帯状束(Cingulum):
 帯状回に沿って走り、情動処理や記憶と関係

臨床応用

神経変性疾患:
 パーキンソン病やアルツハイマー病でFA低下
 その他多発性硬化症など

脳腫瘍:
 腫瘍と正常な白質線維の関係を確認
 線維束の偏位や破壊の確認

外傷性脳損傷:
 軽度外傷でも白質線維の微細な損傷を評価

脳卒中:
 梗塞部位の拡散特性を分析
 内包後脚の損傷 → 片麻痺

てんかん:
 側頭葉内の白質変化の評価

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