核磁気共鳴
試17-6、15-6、11-1、10-4、9-4、5-6、2-11、1-11
参考書籍:完全解説P343、P95、P96、P85
概要
・陽子、中性子がともに同じかつ偶数であればすべてのスピンが対をつくるため磁性はもたない
・核磁気共鳴現象を示す核種の例(過去出題分)
核種 | スピン量子数 | 核種 | スピン量子数 |
1H | 1/2 | 25Mg | 5/2 |
2H | 1 | 27Al | 5/2 |
13C | 1/2 | 31P | 1/2 |
14N | 1 | 39K | 3/2 |
15N | 1/2 | 41K | 3/2 |
19F | 1/2 | 43Ca | 7/2 |
23Na | 3/2 | 129Xe | 1/2 |
上記以外は完全解説P17表1-1-1を参照 |
・横緩和時間は共鳴周波数幅が広いほど短縮する
・常磁性物質が持つ不対電子の磁気モーメントはプロトンの磁気モーメントの658倍
・双極子間相互作用(DDI:dipole-dipole interaction)
緩和の基本メカニズム
水素原子核pが水素原子核qに及ぼすDDIの強さ
DDI ∝ μ2/r6
μ:磁気モーメント
r:2つの原子間距離
ラーモアの式
試18-7、14-1、9-19、5-5
・歳差運動の共鳴周波数f
f=(γ・B0)/2π
ω=γ・B0
γ:磁気回転比(核種に固有の値がある)
B0:静磁場の強さ、磁束密度[テスラまたはWb/m2]
コイルに流れる電流に比例して大きくなる
ω:角振動数[rad/s][1/s][cycle/s]
ボルツマン分布則
試9-3
・偏極率
:2つのエネルギー準位の比率NA/NB
この値が大きくなるほど信号強度は大きくなる
1.5Tでの1Hの偏極率=0.5×10-5
NA/NB = e(γHB0/kT)
γ:磁気回転比
H:プランク定数(h/2π)
B0:静磁場強度
k:ボルツマン定数
T:絶対温度
RFコイル
試19-44、15-10、14-4、13-2、6-17
参考書籍:完全解説P515-525 、 撮像技術P41~
・Birdcageコイルはボリュームコイルとして用いる
・Arrayコイルは個々のコイルが重なるように配置されている
・RFコイルの軸は静磁場に垂直に配置する
・円形コイルはコイル面が静磁場方向と平行するように配置するとよい
・直角位相型コイル(CP:Circular polarization)コイルに比べて直線偏波型(LP:Linear polarization)コイルは
信号雑音比は√2倍、SARは1/2倍
・筒型超伝導MR装置のガントリ内蔵コイル
水平磁場はサドルコイル
垂直磁場はソレノイドコイルが用いられる
・直角位相受信コイル(QDコイル、CPコイル)を使用すると信号が2倍、SNRが√2倍に上昇する
・QD送信コイル(円偏波コイル)はリニア型コイル(直線偏波コイル)に比べてSARを1/2にできる
概要
・役割
→ 人体にRFパルスを照射しNMRを生じさせる
→ 人体が発するNMR信号を受信する
・RFコイルの軸
→ 静磁場に垂直に配置する(コイル面は静磁場と平行に置く)
・画像に影響する因子
SNR
感度領域
感度均一性
RFコイルの種類
〇送受信専用コイル(ボリュームコイル、別名:体積コイルor直角位相コイル、円偏波コイル)
・体幹部の撮像に使用する
・種類
a) 鞍型コイル
b) Birdcage型コイル
c) ソレノイド型コイル
→ 永久磁石型で用いられる
〇QDコイル(quadrature detection coil、別名CPコイル:Circular polarization coil)
・2つのリニア型RFコイルを直交配置で組み合わせたコイル
・各対で同時に得られるMR信号を90°位相差補正して足しあわせる
→ SNRがSNRが√2 倍に上昇する
・高感度
・リニア型コイル(直線偏波コイル)に比べてSARを1/2にできる
・直線偏波型(LP:Linear polarization)コイルは直角位相型コイル(CP:Circular polarization)コイルに比べて信号が2倍、SNRは √2倍、SARは1/2倍
・筒型超伝導MR装置のガントリ内蔵コイルは、水平磁場はサドルコイル、
・垂直磁場はソレノイドコイルが用いられる
○受信専用コイル
・体表に近い部位の撮像に使用する(四肢関節、乳房、脊椎など)
・種類
a) 表面コイル(サーフェイスコイル)
MR信号を近くで受信でき、高信号が得られる
→ 小さいほど分解能が高くなる
受信領域以外の感度が低くなる
→ 目的部位以外のノイズが減る
→ よってSN比が高くなる
コイル面は静磁場方向と平行になるように置く
コイル径が小さいほどSN比、信号強度は高い
b)フェーズドアレイコイル
SN比の高い小さい表面コイルが重なるように配置され複数つながっている
高い感度を生かしつつ、広い領域を撮像できる
画質の向上とパラレルイメージングによる撮像時間短縮ができる
3T装置
完全解説P406~407、398
試14-1、8-4、7-3、7-6、7-24、6-38、5-5
静磁場強度とパラメータの関係
パラメータ | 関係 |
縦緩和時間(T1) | B0↑ ⇒ T1↑ |
信号雑音比(SNR) | 比例 |
磁化率による周波数ずれ、磁化率効果 | 比例 |
化学シフト(Hz) | 比例 |
比吸収率(SAR) | 2乗に比例 |
牽引力 | 比例 |
トルク | 2乗に比例 |
RF波長λ | 反比例 |
被写体運動による誘電起電力 | 比例 |
MT(Magnetization transfer)効果 | 強くなる |
3TMRI装置の利点
・1.5T装置に比べて、SNRが2倍となる
・磁化率効果が1.5T装置に比べ約2倍で、局所的な磁場の不均一を画像に反映する能力が高い
→ functional MRI、SWI、BOLD venographyの点で有利
・MRスペクトロスコピーにおいて、代謝物のピーク検出の分解能が向上する
→ 磁場強度が高くなると、化学シフトも増大するため
3TMRI装置の欠点
・体動や拍動によるアーチファクトが出やすい
・磁性体や磁化率によるアーチファクトが出やすい
・強磁性体に加わる回転力(トルク)は磁場強度の2乗に比例するため、1.5Tの約4倍になる
・撮像中に照射するラジオ波による熱エネルギー蓄積が1.5T装置の4倍
→ 体内異物の温度が上昇しやすい
・比吸収率(SAR)は磁場強度の2乗に比例するため、1.5T装置の4倍になる
・騒音が大きい
・RFの空間分布が不均一になるためRFの生体への浸透力が小さくなる(定常波効果)
・前庭刺激がある
→ 内耳への刺激があり、めまいなどの内耳症状を引き起こす可能性がある
・撮像法に制限が多い
・T1WIにおいてコントラストがつきにくい
・3T MRIでのT1値は1.5T MRIでの値の値よりも長くなる
○定常波効果(Standing wave effects、誘電効果)について
・高磁場装置にて、誘電率の差によってRFの空間分布が不均一になる現象
・B1磁場の影響によって信号が不均一となる
・RFの入射波と反射波による合成波が体内で不均一な分布となる
・被写体径が大きい患者や妊婦、大量腹水患者の胸腹部で目立つ
→ 1.5T装置で行うのが望ましい
・磁場強度とRF波長は反比例する
→ 3T装置でのRFの波長:空気中2.35m 人体内28cm
その他の3TMRI装置の特徴
・ADC値やFA値は静磁場強度に関係なく1.5Tと同じ
・1.5Tに比べてT2およびT2*効果が増大する
・1.5Tに比べて拡散テンソル画像(DTI)を撮像する場合のMPGの印加軸は半分にできる
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