女性骨盤、乳腺領域

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女性骨盤

試19-37、15-34、15-39、14-42、13-13、13-16、12-49、12-50、11-43、10-1、10-44、9-20、9-28、8-20、8-34、7-7、7-39、4-31、2-15、2-17、1-15、1-17

参考HP①  参考HP②  参考PDF①  参考PDF②

・女性骨盤のMRI検査は病期診断に有用

図 T2WI Sag
1:外層筋層 2:junctional zone 3:子宮内膜 4:膀胱 5:恥骨

卵巣

○卵巣癌
・T1WI:不均一な低信号
・T2WI:嚢胞性の部分が信号、充実性部分が中~低信号
・造影効果あり

〇卵巣捻転
・所見
:「造影効果なし」
卵巣の腫大
付属器への子宮の偏位
腹水の存在

〇漿液性嚢胞腺腫
参考HP
・T1WIで単胞性の均一な低信号
・T2WIで信号
・造影効果なし
・DWI(b=1000)で信号を示
→ 漿液は粘液物質を含まない比較的さらさらした透明な分泌液であるため

〇卵巣成熟嚢胞性奇形腫(類皮嚢腫/mature cystic teratoma/dermoid cyst)
参考HP
・胚細胞性腫瘍
・皮脂腺から分泌された皮脂を含む
→ 病変部に巨視的脂肪成分が存在すれば診断できる
→ T1WI:信号  T1FSWI:信号低下
→ これが脂肪成分として非脂肪成分との境界にケミカルアーチファクトが出現する
・T2WI:信号
・造影効果:なし

〇粘液性嚢胞腺腫
・T1WI:信号
・T2WI:信号
・多房性
蛋白の濃度差によってコントラストがステンドグラス様に変化する

○卵巣腫瘍の鑑別診断チャート

子宮

○正常解剖
・T1WI:子宮を1つの塊として捉え腸管と区別できる
・T2WI:子宮の3層構造(junctional zone)が区別できる
・体部:頸部の長径比=2:1
・子宮体部の構成:「子宮内膜」「筋層」「漿膜
・子宮内膜直下筋層や子宮内膜は小児や閉経後女性においては描出が難しい場合がある

○子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞、Endometriotic Cyst)
参考HP
・嚢胞内には慢性的な出血を繰り返したことによる古い血液成分が含まれる
→T1WI:で信号
→脂肪抑制T1WI:で信号(脂肪抑制効果がない)
・T2WI:基本的に信号
→凝固血液や脱落上皮、その壊死物質に起因する
→血液が古くてT2値の短縮が著明な場合はT2WIで信号が低下(shading)

○子宮筋腫
参考HP①  参考HP②
・出現部位により漿膜下筋腫、筋層内筋腫、粘膜下筋腫に分類される
境界明瞭な腫瘤
・T1WI:筋層と同程度の低信号
・T2WI:筋層よりも低信号
・DWI:低〜中等度の信号
・造影:変性の程度により様々
・ダイナミック:比較的多血性
・子宮との間の血管がflow void(bridging vascular sign)を示す

○子宮腺筋症
参考HP
・子宮筋層に内膜細胞が入り込んで増殖し、子宮の壁がこぶのように硬くなったり、子宮全体が腫れたりする
・T1WI、T1FSWI:信号の点状出血が散見される
・T2WI:境界不明瞭低信号を示す

○子宮体癌
・子宮体部の内膜に発生する悪性上皮性腫瘍
・原因:「高エストロゲン状態
・進達度を見るためにGd造影剤によるdynamic MRIを行う

○子宮頸癌
原因:「ヒトパピローマウィルス
・子宮頸部の短軸斜位T2WIにおいてstromal ringの消失は頸部間質外への浸潤を疑う
 stromal ring:T2WIで頸管内膜の高信号領域を低信号の頸部間質が取り囲む像

○ナボット嚢胞(Nabothian cyst)
参考HP
・発生部位:子宮頸部

月経周期との関係性 

試19-37、15-34、11-23、10-5
参考HP①  参考HP②  参考PDF①  参考PDF②

○月経周期の特徴
・月経期
 子宮筋層の収縮が信号強度に強く影響する
 Junctional zoneは描出不良
 子宮内膜が最もい時期

・卵胞期と排卵前期の間
 junctional zoneのボリュームの著明な変化がある

・排卵前期
 junctional zoneの蠕動の影響が大き
 排卵前期は子宮筋層厚と子宮内膜の範囲は増大する

・黄体期(分泌期)
 子宮筋層子宮内膜ともに信号強度がくなる
 子宮内膜が最も厚く描出される

○その他
・子宮内膜は閉経後に委縮する

 

 

前置胎盤

試13-15
参考PDF①  参考PDF②

癒着胎盤を合併することがある
T2 dark bandがみられることがある
SSFSE(HASTE)法を使用し動きに対応する

乳腺

試19-3、18-26、16-18、13-12、13-45、13-48、6-5
参考書籍:超実践マニュアルP253
参考HP①  参考HP②
参考PDF①  参考PDF②

解剖

・乳管は乳頭に集合する
・乳腺はクーパー靭帯で固定されている
・造影剤は母乳から排泄される
・副乳は乳腺堤(脇の下、通常の乳頭、股を通るライン)に生じる

撮像

・検査目的:病変や腫瘤の検出、状態、進展度の描出などに対して行う
・腹臥位にて乳房専用コイルを用いる
左右両側を撮像する
・基本的に単純+造影ダイナミック撮像を行う
DWI撮像は必須である
・T2WIは通常、脂肪抑制併用で撮像→背景の脂肪信号を抑制して水成分の同定が容易となる
・単純T1WIは脂肪抑制を使用しない
→ 腫瘍と大胸筋の隙間の脂肪信号が保たれているかどうかを評価するため
→ 隙間が消失していた場合、大胸筋への浸潤有り

・造影ダイナミック検査
 脂肪抑制併用の3DGRE法で撮像する
 早期相が乳がんの描出に優れている
 空間分解能と時間分解能を両立するために1時相1分程度に設定する
 時間分解能よりも空間分解能を優先した撮像条件を構築する
 造影前後の画像間にてサブトラクションを行うこともある
 kinetic curveの関心領域は病変に絞って設定する

・血性乳汁分泌の診断にはT1WIを追加撮像する

血管増生血栓が見られることがある
 →SSFPにて信号を確認する

・MRSはいTEを使用
 →脂肪の影響を極力排除するため

・背景乳腺の増強効果(BPE(background parenchymal enhancement))
 月経5-12日:BPEの程度は最も
       撮像に最適
 月経4−1週:BPEの程度は最も

・シリコンインプラントについて
 共鳴周波数は脂肪より
 評価にはSTIRに選択的水抑制を併用したT2WIを撮像すると良い

マンモグラフィガイドラインのカテゴリー分類

カテゴリー 状態
1 異常なし
2 良性
3 良性、しかし悪性を否定できず
4 悪性の疑い
5 悪性

*Massの定義:5mm以上の結節

コメント

  1. より:

    卵巣腫瘍の MRI について正しい記述を選択して下さい.(正解 2 つ)
    1.卵巣癌の充実性部分は T2 強調像で高信号を示す.
    2.漿液性嚢胞腺腫は拡散強調像(b1000)で低信号を示す.
    3.成熟嚢胞性奇形腫は脂肪を含むので T1 強調像で高信号を示す.
    4.内膜症性嚢胞は高蛋白含有の液体を含むので T1 強調像で高信号を示す.
    5.粘液性嚢胞腺腫は粘調度により T2 強調像で低~高信号の多様な信号形態を示す

    正解3.4だと思うのですが、解説によると2も正解になります…

    漿液性嚢胞腺腫のHigh bは低信号で合ってますか?
    低信号〜中等度?

    • 対策ノートの人 より:

      謎様

      コメントありがとうございます。
      過去問11-43(同一問題10-44、9-20、8-20)ですね。
      私個人としての解釈で回答させていただきます。

      解説サイト(http://www.mj-t.sakura.ne.jp/index.htm)を参照すると、同一問題でありながら8回と11回では3.4、9回と10回では2.3を解としており、解説サイト管理人様も自信なしと記載されています。
      私はこの問題の解を2.3だと考えています。
      選択肢ごとに見ていきますと以下のようになります。

      1.卵巣癌の充実性部分はT2強調像で高信号を示す.
      「高信号」が誤りだと考えます。
      卵巣癌の信号強度は多様です。

      2.漿液性嚢胞腺腫は拡散強調像(b1000)で低信号を示す.
      正しいと考えます。
      漿液は粘液物質を含まない比較的さらさらした透明な分泌液です。そのため、水分子の運動が制限されにくいため拡散強調像(b1000)では低信号を示すと考えます。

      3.成熟嚢胞性奇形腫は脂肪を含むのでT1強調像で高信号を示す.
      正しいと考えます。

      4.内膜症性嚢胞は高蛋白含有の液体を含むのでT1強調像で高信号を示す.
      「高蛋白含有」が誤りだと考えます。
      「出血成分含有」と置き換えると正解の文となります。

      5.粘液性嚢胞腺腫は粘調度によりT2強調像で低~高信号の多様な信号形態を示す.
      「粘調度」が誤りだと考えます。
      「蛋白の濃度差」と置き換えると正解の文となります。

      ○参考
      ・画像診断まとめ(https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/12851)
      ・直前対策講習会の出席(2019.1.27@京都大学医学部付属病院、2018.1.28@神戸大学医学部付属病院)
      →この講習会では講師の先生が上記のとおりの解説をされておりました。

      長文となりましたが、検討よろしくお願いいたします。
      試験勉強頑張ってください。

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