臨床 MRI 安全運用のための指針

試:18-49、17-49、16-50、15-48
参考PDF

1) 安全管理体制
・施設内にMRI検査を管理するチーム(安全管理責任者※1・安全管理担当者※2チーム)を作ること。本チームは1名の責任医師※1の下、その他の医師、診療放射線技師もしくは臨床検査技師、看護師などで構成される。その構成員には磁気共鳴専門技術者あるいはそれに準ずる者が含まれることが望ましい。
本チームの会合は年1回以上行い、施設内での医療従事者への講習を定期的に行うこと。また、安全管理責任者や安全管理担当者はMRIの関連団体にて安全性に関する講習会に年1回程度、定期的に参加することが望ましい。

2) MRI検査前の安全管理
・MRI検査前における患者および医療従事者への安全管理の体制を構築すること。
・体内植込み型医療機器、体内外金属、入れ墨等を問診票のほか患者の医療機器情報カードや金属探知機などを用いて検査前に把握し、身体への悪影響(臓器損傷や熱傷など)を与える恐れがあるものを適切に管理すること。また、医療従事者および作業従事者※3の金属持ち込みを防止する教育および管理体制(マニュアル作りなど)を整備すること
・MRI検査に重要な情報を共有する医師、診療放射線技師もしくは臨床検査技師、看護師との連携体制を整えること。

3) MRI検査中の安全管理
検査中は患者の状態を監視し、必要に応じて、心拍数、血液酸素飽和度などの観察を行い、患者からの中止要請(患者緊急コール)を伝えるシステムを利用した運用体制を整えること。
・緊急時のバックアップ体制を構築し、運用マニュアルを整備すること。

4) 安全性情報の関連学会・関連行政機関への報告を行う体制を整備すること※4

5) 鎮静の必要な患者の安全管理
・小児や閉所恐怖症の患者を含め鎮静の必要な患者に対しては、緊急時のバックアップ体制を構築すること。(小児の場合はMRI検査時の鎮静に関する共同提言※5を推奨)

6) 造影剤使用の安全管理
・MRI造影剤の使用においては同意書を取得すること。
・MRI造影剤の副作用への対応、腎性全身性線維症(NSF)防止の対策の教育や対応へのマニュアルを備えていること。また、安全管理責任者や安全管理担当者はMRI造影剤に関する講習会に定期的(少なくとも2年に1回)に参加し、MRI造影剤使用上の注意改訂など、重要な情報の周知を図ること。

7) MRI装置の品質管理
・始業時・終業時点検並びに保守点検を適宜実施すること。また始業時にはファントム等の撮影を行い、画質の維持・向上に努めること。なお、定期的(少なくとも6か月に1回)に保守点検が行われていることが望ましい。

8) 非常時の安全管理
患者の安全確保、液体ヘリウムの突沸(クエンチ)への対応、地震・火災・浸水・停電などの災害への対応へのマニュアルを備えていること

 

※1. 安全管理責任者は、施設内にてMRI検査の安全管理を統括する医師を指す
※2. 安全管理担当者は、施設内にてMRI検査の安全管理を担当する医師、診療放射線技師もしくは臨床検査技師、看護師を指す
※3. MRI装置のメンテナンス関係者および室内の修繕等のために検査室内に立ち入る作業者を指す
※4. 安全性情報に関しては関連学会、関連行政機関のホームページ
https://www.jsmrm.jp/modules/guideline/index.php?content_id=2
https://www.pmda.go.jp/safety/reports/hcp/0001.html
https://www.med-safe.jp/等を参考とすること
※5. MRI検査時の鎮静に関する共同提言(日本小児科学会・日本小児麻酔学会・日本小児放射線学会 2020年)

 

 

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