MR血管撮像

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MRA:bright blood MRA

試19-15、19-20、18-16、18-29、17-11、17-17、17-22、16-17、16-36、15-26、14-49、13-36、13-49、11-3、9-10、6-12、5-4、5-11、5-29
参考書籍
 完全解説P595,581 
 撮像技術P117,122,219,230,249,307
参考PDF①  参考PDF②
参考PDF③  参考PDF④

タイムオブフライト法(TOF:time of flight)

○概要
GRE法を用いて流入(インフロー)効果を利用
・TRごとにαパルスを与えると、新しくその部分に入る血液は、縦磁化はずっと回復した状態と同じとみなせ、これを短いTRにて画像にすると血管だけを強調できる
・血管以外のT1値の短い物質ほど高信号
・得られた画像は,MIP処理され三次元的に観察される
・流入効果を高めるため、目的の血管に垂直な断面にする
・脳血流の低下が予想される場合、TRの延長で血管の描出能が向上する
・エコー時間を短縮すると位相分散を少なくし、乱流の影響が減少する
 →血管内腔の高信号が得られる

○撮像法
a) 2D-TOF法
・頸部や腹部,下肢血管など,広い範囲の撮像に利用される
・3Dに比べスライス枚数を増やせる
・薄いスライス厚で撮像し,静脈などの比較的遅い血流の信号も描出できる
・スライス面に対し垂直に流入する血流ほど信号となり,平行に走る血管は信号となる
・動脈のみ描出する場合,撮像前に静脈の流入側に飽和パルス(プリサチュレーションパルス)を与える
・下肢動脈MRA
 動脈血の流入効果を大きくするために心電図同期法で撮像する
 収縮期に信号収集する

b) 3D-TOF法
3DFT-GREを利用している
・2D-TOF法に比べてスライス方向の分解能が向上しS/N比も向上する
静脈など遅い血流は描出困難となる
・厚みのあるスラブで撮像するため、磁化の飽和が起こってしまう
 改善策:
 1.TRの延長
 2.TEの短縮→位相分散を少なくし、乱流の影響が少なくなる
・心電図同期併用3D-FSE差分法では拡張期の画像から収縮期の画像を差分する

○PSE(progressive saturation effect)
撮像範囲が数cmにおよぶため、スラブ内を流れる血液は何回ものRFパルスを受けることにより飽和が起こり、TOF効果が消失する現象

○飽和効果を抑制する方法
1.MTCパルスの使用
背景信号を抑制する
→自由水のプロトンの共鳴周波数から離れた高分子の
 プロトンにMTパルス(プリパレーションパルス)を印加
→蛋白質を多く含む脳実質のプロトンの信号が抑制され、
 間接的に自由水のプロトンも抑制され、
 血管の描出能を向上させる

・撮影時間延長によりTRが延長する
・大きなRFが必要でSARが上昇する
・自由水はMT効果が強い
・脂質はMT効果が弱い

2. 傾斜フリップ角法
(可変フリップ角不飽和励起法)
TONE(tilted optimized non-saturating excitation)やRamped RFなど
・異なる励起フリップ角を用いて上流から下流方向に
 線形にフリップ角を増加させる手法
・血液が流入する側のRFパルスのフリップ角を浅くし、
 流出する側のフリップ角をくすることで、
 血液信号の飽和を抑制して血管像の描出を向上する
・スライス方向にRFパルスの可変FAを設定すると、
 →スラブ内を流れる血液の飽和効果が減少
 →血管信号を均一化できる
・血液の流れが反対である静脈の信号の抑制効果も期待できる
・欠点
:流入部の血管信号は低下する

3.分割スラブ法
(MOTSA::multiple overlapping thin slab acquisition)
・撮影範囲を分割し、1スラブ当たりの範囲(スライス枚数)
 少なくして、血液の飽和効果を減少させる

4.フリップ角を小さくする  

5.TRをくする

6.造影剤の使用

フェーズコントラスト法(PC:phase contrast)

参考書籍:完全解説P595
○概要

血流速度や血流方向を反映した位相画像を取得
双極傾斜磁場による位相シフトを利用
・血液が傾斜磁場に沿って移動した場合の横磁化の位相変化を検出している
・血流では位相のずれが生じ、傾斜磁場により位相情報を血流の流れとして描出できる
双極傾斜磁場を付加すると、血流速度とMR信号の位相の間に線形関係が形成される
→ 位相差の大きさが流速に比例

・双極傾斜磁場の正負を入れ替え、2回撮像する事で
 磁場の不均一に伴うバイアスを除去する方法がある

・移動したスピンだけが信号を出す
→ TOF画像で見られるT1値の短い血液崩壊産物の描出という問題はない

・3方向の速度を測定する場合(x,y,z)、計6回の撮像が必要
 →Hadamard encoding schemeを使用すると4回に減らすことが出来る

・流速の測定精度は測定断面に依存する

○撮像法
a) 2D-PC法
時間で撮像でき,厚いスライス厚により血管の概観像が得られる

b) 3D-PC法
・S/N比が高,広範囲にて複雑な血管走行を描出でき,多方向からの観察できる
スライス方向の制限がない
・信号強度から流速を推測できる

○VENC(velocity encoding:速度エンコーディング)
参考:完全解説P595
・単位[cm/sec]
流速v=ΔΦ/(γ・Gx・T2
ΔΦ:位相シフト
  ΔΦ=0,±πのとき信号0、 =±π/2のとき信号最大
  ΔΦ=πのときのvをVENCという
G:双極磁場勾配(BPG: bipolar gradient)の強度
T:BPGの印加時間
γ:磁気回転比            

・撮像対象血管の流速がVENCよりも大きいと速度折り返し現象が起こる
→VENCを超える流速を遅い流速として表現してしまうことがある
→VENCを100cm/secと設定した場合,125cm/secの血流の位相シフトは,反対方向の75cm/secの位相シフトと区別できない

・対象血管の流速の25~75%がコントラストよく描出する
・対象血管の推定最大流速の25%増しに設定することが望ましい
・VENCを100cm/secと設定した場合
125cm/secの血流の位相シフトは,反対方向の75cm/secの位相シフトと区別できない

 

3. FBI(Fresh Blood Imaging)

・FASE(fast advanced spin echo)法を利用
・遅い血流を描出する手法
収縮期と拡張期の信号強度差を利用する
→動脈血が低速になる拡張期に動・静脈相を撮像
→動脈血が最大流速になる収縮期に静脈相を撮像
→両者を差分し、動脈相の画像が得られる

 

その他

・心電図同期併用のsingle-shotFSE系で、データ収集をdiastole(拡張期)に合わせると、動静脈(冠状断)を高信号に描出できる

・bright blood MRAでは血管内腔径は実寸より小さい

○利点 欠点まとめ

  利点 欠点
TOF法 ・静磁場への均一性への依存度が低い

・傾斜磁場の直線性への依存度が低い

・画像再構成時間が短い

・PC法よりもS/N比が高い

・非造影で血管を描出できる 
・T1が短い組織を高信号に描出

・断面(FOV)に平行な流れは描出困難

・過流と乱流によって血管内の信号は低下する

特に冠状断ではインフロー効果が得にくい
PC法  ・流速と方向の定量化が可能

・特定の流速を強調できる

・断面(FOV)に平行な流れに鋭敏

・非造影で血管を描出できる 
・静磁場の均一性への依存度が高い

・傾斜磁場の直線性への依存度が高い

・体動に弱い

・TOF法より検査時間が長い

・画像化するための煩雑性

・過流と乱流によって血管内の信号は低下
造影法 ・撮像時間が短い

・高コントラスト 
・流速や方向の情報が得られない

・造影剤が必要

black blood imaging(血液信号抑制技術)

試6-13、5-29
参考書籍:完全解説P603
参考PDF①  参考PDF②  参考HP①

概要

・高速度信号消失/空間抑制パルスや流れによる位相分散で血管内を信号にする
・Bright blood MRAと比べて血管内径をより正確に描出できる
石灰化、骨皮質、気体が血管内腔と紛らわしいことがある

MSDE法

完全解説P604
・傾斜磁場を用いて血液スピンの位相分散を引き起こし,動きのある組織の信号を抑制する
・b値は3~10s/mm2
 → DWI撮像よりも低い

・180°パルスを挟んで対称に傾斜磁場を印可するDWI撮像のシーケンスデザインをプレパレーションパルスとして用いる

double IR

スライス非選択的パルス後スライス選択的パルスを用いて目的スライス以外の信号を抑制し無信号化する
スライス非選択IRパルス
コイル感度内の信号を反転させる

スライス選択IRパルス
目的スライスに用いて目的スライス以外の信号を反転させる

・in-flow suppression法よりも良好な血液信号抑制効果を得られる

・脂肪抑制を行わないblack blood pulse

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