試19-29、19-35、18-3、18-26、18-48、17-7、17-48、16-49、15-5、15-29、14-34、13-18、13-32、7-4、3-11、3-24
参考PDF① 参考PDF② 参考PDF③
参考HP① 参考HP②
MRI安全性の考え方第2版P252~266
1.細胞外液性造影剤 Gd(-DTPA,-DOTA,etc.)
・常磁性の細胞外液性造影剤
・正常脳脊髄では血液脳関門を通過できないが、
BBB が破壊されている腫瘍などの病変部には入り込む
・薬剤が分布する周囲のプロトンの緩和時間を短縮させる
・陽性造影剤、高濃度で陰性造影剤となる
通常の濃度での投与によりT1値短縮が優位となり、T1WIで信号強度は強くなる
濃度を増加させるとT2値短縮が優位となり、信号強度は小さくなる
造影剤の濃度と信号強度は比例しない
・投与方法:静脈内投与
血中および細胞外液に取り込まれる
・排泄経路:尿中
・体内蓄積性がある→小脳歯状核や淡蒼球や尾状核に蓄積する
線状型はマクロ環状型のものよりも体内に沈着しやすい
・FLAIR法で短いTEを用いると造影効果が得られる
・授乳中の場合はGd造影剤投与後24時間授乳を避ける
○ガドリニウム
・原子番号64の希土類元素に分類される重金属
・生物に対して強い毒性がある
→キレート剤と結合した製剤として用いられる
・Gdイオンは7個の不対電子がある
2.Gd-EOB-DTPA(EOB・プリモビスト、ガドキセト酸ナトリウム)
・肝特異性造影剤
・キレート構造:イオン性、環状型
・投与方法:静脈内投与
・排泄経路
胆汁と腎排泄(6割)
健常人は造影剤の約4割は糞中から排泄
・分布:細胞外液と肝細胞
トランスポータによって肝細胞に取り込まれる
・造影剤投与後(ダイナミック)
造影早期相:細胞外液性の造影剤として作用し、血流評価が可能
呼吸停止不良が生じる可能性が
他のGd造影剤よりも高い(transient severe motion)
投与後1分程度:血中および細胞外液に取り込まれはじめる
20分後:肝細胞相での増強効果によって肝細胞機能を評価できる
・造影効果
少なくとも2時間持続
造影効果は肝機能の程度によって変化
腎機能は関係しない
・血漿中のR1(T1緩和度)はGd-DTPA 造影剤の約2倍のT1短縮効果を示す
・血漿中のr1値、r2値はGd-DTPAより高い値を示す
・NSF(腎性全身性線維症)に対してGd-DTPA造影剤と同様の取扱いを行う必要がある
・肝臓はin-phaseのGRE法を選択する
3. SPIO:superparamagnetic iron oxide(超常磁性体酸化鉄製剤)
・肝特異性造影剤
・投与方法:静脈内投与
・肝臓の細胞内皮系細胞(Kupffer細胞)に貪食されて取り込まれる
・微小酸化鉄粒子であり、正常組織のT2*値を短縮させる
→陰性造影剤として使用される
・正常肝ではKupffer細胞がSPIOを貪食することで磁場の不均一が生じる
⇒T2WI、T2*WIで信号低下する
・転移性肝癌の診断に利用される
・Kupffer細胞が存在しない転移性肝腫瘍やHCCが、信号低下した正常肝と比べて相対的に高信号となる
・体内で消費されるため、腎不全患者に対して使用してもよい
・出血症状を悪化させる恐れがある
・禁忌:ヘモクロマトーシスや鉄過敏症の患者
・SPIOは副脾に集積する
4.クエン酸鉄アンモニウム製剤(フェルセルツ)
・通常濃度で陽性造影剤として作用
→T1WIで消化管内腔を高信号に描出
→胃や十二指腸の内腔や壁の確認
膵やリンパ節などの周囲臓器との関係の描出
・高濃度で陰性造影剤として作用
→MRCP検査での消化管内からの信号を消去する
・投与方法:経口投与
・副作用: 軟便、下痢
5.塩化マンガン四水和物製剤(ボースデル、マグベリー)
・陽性造影剤、陰性造影剤の両方の性質を持つ
T1WI:高信号(陽性造影効果)
T2WI:低信号(陰性造影効果)
MRCP検査での消化管内の水の信号を消去する
・投与方法:経口投与
・副作用:軟便、下痢
・禁忌
ヘモクロマトーシスなどの鉄過敏症の治療中患者
鉄剤に過敏症を有する患者
・慎重投与
消化管潰瘍、潰瘍性大腸炎、限局性腸炎などの胃腸疾患を有する患者
MRI用造影剤 一覧
http://www.radiology.jp/content/files/zoei20200401_01.pdfより引用
分類 | 細胞外液性造影剤 | 肝特異性造影剤 | |
Gd-DTPA | Gd-EOB-DTPA | SPIO | |
分布 | 細胞外液 | 細胞外液と肝細胞 | 血液とクッパー細胞 |
画像 造影効果 |
主にT1WIで活用 造影剤の存在部位が高信号 |
主にT1WIで活用 造影剤の存在部位が高信号 |
主にT2WIで活用 造影剤の存在部位が低信号 |
血行動態の差異を可視化 | 血行動態の差異と肝細胞機能の差異を可視化 | クッパー細胞の有無または機能の差異を可視化 | |
Gd含有量 投与量 |
0.2mL/kg 0.1mmol/kg 500mmol/L |
0.1mL/kg 0.025mmol/kg 250mmol/L |
造影剤によって短縮した組織のT1値
試験:17-7
参考書籍:完全解説P99
造影剤投与後の組織のT1値T1は
その他 造影剤関連
・eGFR:「糸球体1分間あたりの濾過能力」
・eGFRが30ml/min/1.73m2未満(透析症例を含む)の場合には、ガドリニウム造影剤使用後のNSF発症の危険性が高いとされており、非造影MRI検査、単純CT、超音波検査などの検査で代替えすべきである
・NSFの発症は遅発性~超遅発性(Gd造影剤投与の数日~3ヶ月後が多い)
・緩和促進作用:T1緩和とT2緩和の両者が同時に影響する
rを用いてr2/r1で表される
・緩和速度R1,R2:緩和時間の逆数
・緩和能r1,r2:単位濃度あたりどの程度1Hの緩和時間を短縮するかという指標
・T1緩和度(r1 値)、T2緩和度(r2値):緩和促進効果を示す指標
・造影剤の副作用は、初期症状を早期に捉えることが重要
・腎機能チェックは造影剤を使用する場合だけでよい
・ガドリニウム造影剤0.1mmol/kg投与時の血中消失半減期
→クレアチニンクリアランスが正常の場合約1.5時間
・DCEを用いた薬物動態解析では3D-GRE画像が用いられる
・DCEを用いた薬物動態解析ではToftsモデルのような
コンパートメントモデルを使用する
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