概要
試18-26、17-14、17-39、16-35、16-37、15-30、14-23、13-23、10-16、8-5、7-5、6-5
参考書籍:
完全解説P624~P639~P645
MRI評価と解析
参考PDF① 参考PDF② 参考PDF③
参考PDF④ 参考PDF⑤ 参考PDF⑥
参考PDF⑦
参考HP① 参考HP② 参考HP③
参考HP④
・脳血流量(CBF)、脳血液量(cBV)、平均通過時間(MTT)が得られる
・関心領域内の微小循環による信号強度変化を経時的に画像化する
・灌流(perfusion)
組織の毛細血管における血流動態
単位時間あたりに入れ替わる血液量で表される(ml/min/100g)
撮像法
1.DSC-PWI (dynamic susceptibility contrast PWI)
○手法
・Gd造影剤を血管内急速注入後のT2*WI(通常はEPI法)を
連続撮像する
造影剤の磁化率効果により血管内外の信号強度差が生じる
そのT2短縮効果による信号上昇を継時的に観察する
組織の信号強度低下を捉えた曲線から、組織の血液灌流を評価する
・造影剤投与前後のT2*緩和速度(R2*)の差(ΔR2*)を求める
ΔR2*は信号強度比の対数および造影剤の濃度に比例する
このことを利用し希釈理論によって定量値を算出する
・T1短縮を無視できるシーケンスを使用しないと信頼性が低い
・組織血流量(rCBF)=組織血液量(rCBV)/平均通過時間(MTT)
・脳血流定量値はヘマトクリット値やヘモグロビン濃度によって変化する
・deconvolution法では動脈入力関数(AIF)の設定が必要
○評価
・DSCの評価方法にはDWI,rCBF,rCBV,MTT,TTPがある
・平均通過時間(MTT)延長領域は灌流異常の最大範囲を表す
・到達時間(TIP)延長領域は灌流異常の最大範囲を表す
・rCBVの低下とrCBFの著明な低下領域は最終梗塞に至る
・rCBVの維持または上昇とrCBFの低下が軽度の領域に、
可逆的なペナンブラの存在が示唆される
2.ASL (Arterial Spin Labeling)
・潅流画像の撮像方法
・RFパルスで標識して磁化率変化を測定する
・造影剤を使用せず、動脈血のプロトンを標識し内因性のトレーサとして用いる
・頸部の血管にRF照射を行い血液のスピンを反転させ、それを造影剤の代わりのトレーサとして利用する
・ラベリング撮像を行った画像からラベリングを行わないコントロール画像を差分し、CBFマップを得る
・血流信号を高くするためにラベルの前後にRFパルスを印加する
・ASL灌流像は標識された動脈血の到達を見ており,PLDの影響を強く受ける
・ASLでは局所血流量(CBF)を算出できる
・脳血流定量値はヘマトクリット値やヘモグロビン濃度によって変化する
・定量画像はPDWIで信号補正を行う
・トレーサの持続時間は血液のT1に依存する
・脳虚血がある場合はPLDによって描出されるイメージは異なる
○PLD (post labeling delay)
・動脈上流側でのRFパルス照射による標識が終了してからデータ収集までの時間
・動脈血に標識した後、標識された動脈血が脳組織に染み渡るのを待っている
・通常、PLDを1.5秒程度に設定すると、局所脳組織の灌流を反映した信号が得られる
スピンが脳皮質に到達するまでには1秒程度必要なため
・静磁場強度では変化しない
ASL法での血液のラベリング方法
1.PASL法(pulsed ASL)
・励起のためのRFパルスを瞬間的に印加する
・MT効果(magnetization transfer効果)が小さい
・PASLの代表的な手法
:「FAIR」「STAIR」「PICORE」など
2.CASL法(continuous ASL)
・励起のためのRFパルスを連続して印加する
・血流の通過時間の影響が少ない
・連続して反転パルスを印加することから、SARが高くなってしまう
・ラベルに要する時間によって撮像時間が長くなる
・局所能血流量(rCBF)が算出できる
3.pCASL法(pulsed continuous ASLまたはpseudo continuous ASL)
・励起のためのRFパルスをパルス状に分割して印加する
・短い励起時間の矩形波を一定間隔で繰り返すことでCASL法と同様の持続した血液信号の励起を行う
・高いラベル効率を保ちつつ、SARを低減することができる
各ラベリング法の比較
PASL | CASL | pCASL | |
SNR | 低い | 高い | 高い |
ラベル効率 | 低い | 高い | |
SAR | 低い | 高い | CASLより低い |
MT効果 | 小さい | 大きい | 大きい |
ASL灌流画像の問題点
・標識する部位と撮像断面が離れている
→局所血流量を過小評価してしまう可能性がある
・RFパルスのプロファイルの精度が低下する
→局所血流量を過小評価してしまう可能性がある
・標識された血液が太い血管内に残る
→脳実質の局所血流量を過大評価してしまう可能性がある
コメント
いつもお世話になっております。
16回-35でDSCの問題があったと思うのですが、④はAIFは無視できる相似的近似値となるので☓、3,5も違うので1.2が正解だと思っていました。AIFの設定は必要だとすると回答はどれになるのでしょうか?ご教授いただきたいです。
やまだのおろち様
コメントありがとうございます。
16-35. DSC(dynamic susceptibility contrast)灌流画像について再考しましたので報告します。
正しいのはどれか.2 つ選べ.
1. K tranceが計測できる
2. エコープラナー法が用いられる
3. ガドリニウム造影剤の T1 短縮効果を利用する
4. Deconvolution 法では動脈入力関数(AIF)の設定が必要である
5. 組織血液量(V)は平均通過時間(MTT)を組織血流量(F)で除した値である
選択肢3と5は誤り、選択肢2は正しいのは明らかだと思います。
やまだのおろち様のコメントは、完全解説第2版P624-P637を参考にしていると解釈しています。こちらの解説にも記載されているように、DSCデータから組織の血流量Fを正確に算出するのは容易ではなく、相対近似値となります。とはいうものの、設定が不要というわけではないと個人的には解釈しています。
解析方法として、主にfirst moment法やdeconvolution法があり、deconvolution法では動脈入力関数の設定が必要であるとの記載が以下の記事にもあります。
https://www.innervision.co.jp/01inner/2012/pdf/iv201209_044.pdf
よって私は、選択肢4を正しいとみなし、選択肢2.4を回答としています。
より詳細な解説等ありましたら教えていただけると幸いです。
以上、よろしくお願いいたします。
ご返信ありがとうございます。
参考にさせていただきます、また気になる点がありましたらよろしくお願いします。