第16回-問題36

第16回の問題36の正答がわかりません
みなさんの意見を聞かせていただけるとありがたいです
よろしくお願いします

 

問題文

MRアンギオグラフィ(MRA)について正しいのはどれか.
1. PC法は速度エンコードの設定が必要ない
2. TOF法ではエコー時間を短くすることで背景信号の抑制をしている
3. Balanced SSFP系シーケンスは血流が速い方が血流の信号強度が高くなる
4. 下肢静脈を2D-TOF法で撮像する際には呼吸補正を行うことで画質が向上する
5. 非造影MRA法である心電図同期併用3D高速スピンエコー差分法では収縮期の画像から拡張期の画像を差分することで血管像を得る

回答

解説サイトや掲示板を確認したところ、選択肢3もしく4で意見が分かれています

考察

1. PC法は速度エンコードの設定が必要ない

誤り

2. TOF法ではエコー時間を短くすることで背景信号の抑制をしている

参考PDF

誤り
エコー時間短縮で位相分散を少なくし、乱流の影響が減少する
背景信号の抑制はMTCパルスを利用する方法がある
実質部の信号を低下し、血管の描出能を向上させる

3. Balansed SSFP系シーケンスは血流が速い方が血流の信号強度が高くなる

参考書籍:完全解説P264~168、P570
Balansed SSFP系シーケンスは3(x,y,z)方向の流速補正が成り立ち、流入効果とともに血管内が高信号になる
よってこの選択肢は正しいと考えます。

4. 下肢静脈を2D-TOF法で撮像する際には呼吸補正を行うことで画質が向上する

①参考:改訂版 超実践マニュアルP301
参考書籍より引用
「静脈を対象とする場合は、呼吸同期法か呼吸補正法を使用した2D TOFを用います。どちらの手法も撮像は横断面で行います。」
「呼吸補正法はデータの並び替えを行う手法なので、撮像時間の延長がほとんどなく、静脈を非造影で撮像する場合に有効な手法です。」

②参考:応用自在P431
ほし様のコメントを引用
「呼吸に同期して変化する静脈血の変化を軽減でき、モーションアーチファクトの抑制も可能である。」
以上より、呼吸補正は用いることは有効です。
しかし、問題文の『画質』をどう解釈するのかで正しいか誤りか判断が分かれるかと思います。

5. 非造影MRA法である心電図同期併用3D高速スピンエコー差分法では収縮期の画像から拡張期の画像を差分することで血管像を得る

参考:改訂版 超実践マニュアルP298

誤り
拡張期(動脈血+静脈血)の画像から収縮期(静脈血)の画像を差分する

結論

以上より、この問題は3.4の複数解の可能性もありそうです。
どちらかといえば3が正解寄りな気がします。
当サイトでは3を正答として扱っています。
選択肢3と4について情報等ありましたら、コメントにて参考物を提示していただけると助かります。
よろしくお願いいたします。

 

コメント

  1. ほし より:

    正答4と思われます。

    選択肢3
    SSFPでは血流だけでなく自由水も高信号となります。
    血流も3軸の流速補正(FC)により高信号となります。
    また、この流速補正はSSFPの特徴として1つ前のTRで成立した信号であり、流入効果と直接関係しません。
    つまり、1つ前のTEを長くすると位相分散により血管内信号は低下します。
    よって、選択肢3は誤りと考えます。

    選択肢4
    RC併用による下肢静脈撮像法は、応用自在p431にも記載されています。
    呼吸に同期して変化する静脈血の変化を軽減でき、モーションアーチファクトの抑制も可能であることから画質の向上が見込めると考えます。

  2. ほし より:

    コメント後に私も完全解説を読み返してみました。
    完全解説p266とp268より『流入効果とともに血管内信号が高信号となる』という記載があります。
    SSFPによる血管内信号はスライスに並行な血流も高信号となることから流速補正で成り立つので流入効果は関係しないと認識していましたが違っているようですね。
    私も勉強になりました。

    よって、この選択肢も正しいかと思います。

    しかし、選択肢4の『画質』をどう解釈するのか?これが疑問です。

    この問題は複数解の可能性があります。

    大変失礼しました。

    • 対策ノートの人 より:

      ほし様

      いつもコメント・情報提供ありがとうございます。

      「画質」の解釈次第では4も正しい可能性もあるかと思いました。
      複数解の可能性もありそうですね。
      記事の内容も更新させていただきました。

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